2020年2月より販売が開始された「EXキーパー」。”EX一級技術資格者”のみが施工できるメニューで、現在では全国のKeePer LABO、KeePer PRO SHOPで施工ができるようになっています。
新車を超えるツヤ、「過剰(EXCESS)」と呼ぶほど圧倒的なツヤをを求めて、施工台数も増えているようです。
一方で
・SNSやYouTubeでは、高評価しか見ない気がするけど、、EXキーパーって本当に評判よいの?
・EXキーパーって結局良いの?
等と非常に高額商品であるがゆえに、疑問に思っている方も多くいらっしゃるかと思います。
そこで本記事では、EXキーパーの内容や特徴、おすすめできる製品なのか紹介します。
結論、私はEXキーパーはおすすめできません。
では、EXキーパーの真相にせまっていきます。
EXキーパーコーティングとは?
EXキーパーの評判・口コミ
著名なYouTuberに出演頂いた高評価(広告?)、SNSの口コミを見る限り、まだ施工開始間もないこともあり良い評判がほとんどですね。
超サラサラでタオルが滑り落ちる程の手触り。新次元のコーティングです。撥水を阻害する皮膜(ミネラル汚れ)が乗りにくいので、ダイヤモンドキーパーシリーズよりも撥水が長持ちします。
みんカラ
触り心地もツヤツヤで、汚れが固着しなさそうな雰囲気です。今後、艶がどれだけ維持できるのか、洗車がし易くなるのか楽しみです。
みんカラ
一方で中には下記のようなものも散見されます。
1月に施工して早2ヶ月経ちました。
早くも弾かなくなりました。
確かに施工直後は良かったのに値段の割に撥水は長持ちしません。期待していたぶんショックでかいです。
みんカラ
月1洗車青空駐車の環境では、もう水弾き悪し。最初の艶感も無くなった。ミネラルオフ(8千円)しなければならないので、実はコスパの悪いコーティングでした。
1番下のクリスタルキーパーを毎年実施した方が、長い目で見たら綺麗に保てるかもしれない印象です。(予想)
みんカラ
当たり前なのですが、普通に汚れます笑
汚れは着きにくく、落ちやすいですが全然着かないとか、これならいつもいつでも綺麗って事はないです。
みんカラ
施工直後の評価は、ツヤ感や光沢が際立ち、さわり心地が超サラサラで最高!など高評価が目立ちました。一方で、時間が経過するに連れて、汚れも目立ち、撥水感が減り、ツヤ感がなくなった、という意見もいくつか散見されました。
中には、「クリスタルキーパー毎年実施したほうがよかった」という意見もありますが、私自身もキーパーでおすすめできるメニューは、クリスタルキーパーになります。ではEXキーパーがなぜダメだと思うのか、これから解説していきたいと思います。
EXキーパーの特徴
圧倒的な厚みをもつコーティング被膜で新車を超える艶を実現
EXキーパーは、ダブルダイヤモンドキーパーより厚みがあり、2ミクロンほどの厚みがあります。2層構造になっており、独自開発したトップコートの「VP326」という被膜が圧倒的な厚みを実現しているようです。新車を超えるツヤで、触り心地もサラッとしており、置いたタオルが落ちてしまうほどです。
驚くほど強力な撥水力
EXキーパーの特徴は、ツヤだけでなく、圧倒的な撥水力にもあります。ホコリなどの汚れも水と一緒にはじくため、通常の雨程度であれば、まるで洗車したかのように車が綺麗になります。
水シミ水アカが付きにくい構造
従来のガラスコーティングでは、水などに含まれるミネラルと同様に無機質のため、ミネラルが固着しやすく、イオンデポジットやウォータースポットなどの水シミがつきやすという課題がありました。EXキーパーの「VP326」被膜は、有機質のため、ミネラルは固着しにくく、水シミや水垢が付きにくい構造になっています。
EXキーパーの価格
クリスタルキーパー | フレッシュキーパー | ダイヤモンドキーパー | Wダイヤモンドキーパー | ECOプラスダイヤモンドキーパー | EXキーパー | EXキーパー(細密研磨価格) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SSサイズ | 17,400円 | 27,400円 | 49,900円 | 72,200円 | 72,200円 | 113,500円 | 18,060円 |
Sサイズ | 19,500円 | 29,500円 | 55,100円 | 79,900円 | 79,900円 | 123,800円 | 19,960円 |
Mサイズ | 21,800円 | 31,800円 | 60,400円 | 87,600円 | 87,600円 | 134,900円 | 21,600円 |
Lサイズ | 23,900円 | 33,900円 | 64,400円 | 93,200円 | 93,200円 | 150,200円 | 22,800円 |
LLサイズ | 28,400円 | 38,400円 | 70,900円 | 102,900円 | 102,900円 | 160,200円 | 25,200円 |
XLサイズ | 32,900円 | 42,900円 | 90,700円 | 131,400円 | 131,400円 | 174,600円 | 別途見積もり |
耐久性(ノーメンテの場合) | 1年間 | 1年以上 | 3年間 | 3年間 | 3年間 | 3年間 | 3年間 |
耐久性(メンテ有) | 5年間 (1年1回のメンテ) | 5年間 (1年1回のメンテ) | 5年間 (2年又は1年に1回のメンテ) | 6年間 (2年又は1年に1回のメンテ) |
EXキーパーのメリット
全国に店舗があり安心できる
キーパーラボは全国に112店舗、キーパープロショップは6,388店舗(2022年11月現在)と全国規模で展開しており、年々店舗数も増えております。ここまでの店舗数を抱える洗車/コーティング専門店はありません。様々な場所で同じメニューを施工できメンテナンスを受けれることは、安心ですね。
洗車ができる
EXキーパーというよりキーパーのメリットですが、コーティングだけでなく車が汚れたら洗車もお願いできるので、手軽さと利便性に優れているかと思います。
EXキーパーのデメリット
①有機質の被膜だからこそ、持ちが悪い、メンテなしで2年持つことは考えにくい
トップコートである「VP326」は有機質であるがゆえに、メリットデメリットあります。
そもそも物の性質として同じ性質同士を引き寄せ、正反対のものは反発するという性質があります。
そのため、有機質でできている「VP326」は、無機質である水のミネラルなどは引きせることはないので、水シミ水垢が固着しにくいというメリットがあるのです。
一方で有機質のコーティングは、下記デメリットがあるため、定期的なメンテをしない限り、持ちが悪くなります。EXキーパーは、確かに水シミ水垢には強いと思いますが、維持するには定期的なメンテ(=VP326の再施工)がないと物理的に持ちにくい構造だと考えられます。そのため、2年に1回メンテをすれば、6年持つは考えにくいと思います。
- 有機質である排気ガスや埃など油汚れが固着しやすい
- 耐薬品性が低い
- 熱や紫外線、酸性雨などに弱い
②プライマーガラスが無機質皮膜の場合定着しにくい
ガラスコーティングは無機質のポリシラザンを使用したコーティングをベースに、無機汚れ(水シミ)の定着を防止すべく、トップコートとして有機質の被膜を施行することが、従来の方法でした。EXキーパーも、製品の説明を見る限りそのような2層の構造になっているかと思います。
しかし、残念ながら従来の方法には弱点がありました。定着の問題です。
先程申し上げたとおり、物質は、同じ性質の者同士がくっつきやすくなっております。そのため塗装は有機質で、ベースコートは無機質、トップコートは有機質というサンドイッチ構造ですと、物理的に膜が定着しにくく、劣化し剥がれやすい状態が考えられます。そのため、昨今のコーティング剤は、無機質と有機質の両方の性質を備えたハイブリッドのコーティングが海外含め主流になってきています。exキーパーがそのようなハイブリッド型のコーティングであればよいのですが、そのような説明がないため、不安はあるかと思います。
③キーパーの構造的な問題(人材のムラ、鏡面研磨をメニューから削除 / 施工環境)
ポリマーコーティングであるピュアキーパーや、クリスタルキーパーであれば下地処理が必要なかったのですが、EXキーパーに関しては場合によっては下地処理が必要なり、磨き作業を伴うことがあります。
そのため、EXキーパー液剤自体の良し悪しの前に、下地処理が必要とされるコーティングとなると、キーパー自体の構造的な問題があるかと考えられます。
人材
キーパーの人材育成は、検定制度が有名かと思います。EXキーパーも”EX一級技術資格者”のみが施工できるようになっていますね。
良くも悪くもいかに短時間で成果を出すか効率が求められる世界であり、作業もすべてマニュアル通りに施工されることが求められます(私も検定に参加してますし、実際に社員からお話を伺ったこともあります、、)。本当はもっと時間をかけてお客様の車を入念に一台一台施工したい、と思いの社員さんもいらっしゃると聞きます。
下地処理が必要のない簡易なコーティングであれば良いのですが、塗装の状態を見極めて下地処理を伴うコーティングとなると、マニュアル通りにはいかないこともありますし、時間がかかることもあります。
そうなると、マニュアル作業通り実施できれば資格が取れて施工資格を保持できる業務設計は、本当にコーティング効果を求めるお客様からするとリスクでしかありません。何せ経験のない塗装状態に当たった時に、どのような対応をすればよいのかがわからないからです。施工はできたとしても仕上がりは、、、どうでしょうか。
このような背景もあり、磨きのメニューが最近アップデートされました。
軽研磨 | 鏡面研磨 | |
SSサイズ | 9,030円 | 44,000円 |
Sサイズ | 9,980円 | 48,400円 |
Mサイズ | 10,800円 | 52,800円 |
Lサイズ | 11,400円 | 56,200円 |
XLサイズ | 12,600円 | 62,700円 |
使用機材 |
細密研磨 | |
SSサイズ | 18,060円 |
Sサイズ | 19,960円 |
Mサイズ | 21,600円 |
Lサイズ | 22,800円 |
XLサイズ | 25,200円 |
使用機材 |
アップデートされて感じたことは下記の点です。
- 鏡面研磨を辞めたということは、場合によっては目立つ傷やシミに対しては何も対処しなくなってしまった。背景には人材育成が間に合わないという理由がありそう。
- 細密研磨とあるが、内容は軽研磨。使用している全く機材は同じ、ギアアクションポリッシャー(or ダブルアクションポリッシャー)+ウレタンバフ。
- 細密研磨=軽研磨なのに、金額は、約2倍にあがっている。。。
そのため、このような評判もあるのでしょう。ウォータースポットとよばれる塗装が陥没していて溶剤だけでは取れないシミは放置される可能性があると思いました。
水シミとも違う模様の斑点が全体的にあり、特にトランク上に多いようでした。
直径1mm程度の、近くで見ないとわからないレベルのものです。
コーティングから返ってきた時点で既にありましたし、コーティング前にそのような斑点があった記憶はありません。
コーティング表面に何かあるわけでもなく、かといって軽研磨で削られている様子もありません。
みんカラ
アップデート内容をみたとき、すごくショックをうけました。キーパーは「さくっと簡単手軽に受けられて、ざっくりキレイが続く、」という提供価値がありますが、会社側としては、「さくっと簡単手軽に施工できて、短時間施工で、大量販売することで儲けを出す」ビジネススタイルとまさに言えると思いました。
キーパーコーティングに関してはこちらで詳しく説明してますのでよろしければ御覧ください。
④施工環境
施工環境がなぜ重要なのかを説明した表は下記のとおりです。
必要な設備 | 完全密閉された施工環境 | 充実した照明設備 |
---|---|---|
理由 | ①吹き曝しの環境では、ポリッシャーと塗装面の間に粉塵が飛んで巻き込んでしまい、レコード盤のような傷が塗装に残るリスクがあるため、密閉空間が重要 ②密閉空間でないと温度湿度コントロールができず、ムラや硬化に問題が生じる可能性あり。温度が高いと、コーティングの硬化がはやく、拭ききれなかったり、拭きムラがでてしまったり、また急いで拭いたために塗装面に傷が残ってしまったりリスクがあります。一方で温度が低い中で施工となると、乾燥せずコーティング硬化が遅れてしまいます。 | 照明設備が整っていない中でコーティング施工となると、下地の傷が見えなかったり、ムラなどに気づかず、中途半端な仕上がりとなってしまう可能性あります。 |
キーパーの施工環境は、直営店であるキーパーラボと、ガソリンスタンド併設型のキーパープロショップの2つに分かれます。2020年4月以降、”EX一級技術資格者”であれば施工できるため、キーパーラボでもプロショップでも施工できる状態になっています。
ラボは、密閉環境で施工環境が整っていることが多いのですが、ガソリンスタンド併設型のプロショップは、密閉環境でなく温度湿度のコントロールができないことや、傷やムラを見極める照明器具が整っていないことが多いです。ラボ自体も、照明は、蛍光灯だけのようですので、万全ではありません。
このような施工環境では、中途半端な仕上がりになってしまうリスクが高まります。
EXキーパーはおすすめできる?
以上、キーパーの最上位コーティングである、EXキーパーの内容、評判について説明してきました。
自身の結論としては、EXキーパーはやらないほうがよいと思います。
ECOシリーズも施工性があがった液剤を使用していることもあるのに加え、単価もあがっているので、今後はEXキーパーよりECOシリーズをキーパー自身も推奨していくことが考えられます。
“より簡単に、より高単価で、より短時間で施工で大量販売”。これに効果が伴えばよいのですが、現時点ではまだECOシリーズのレビューも少ないため、様子見がよいかと思います。
キーパーで施工するのであれば高単価である必要はなく、クリスタルキーパーでメンテや洗車をしていくことが良いかと思います。