車磨き、やり方知っても安易にDIYすべきでない理由

車磨きは、やり方知っても安易にDIYすべきでない理由

車磨きをDIYでやってみたいんだけど、やり方を知りたい。

オートバックスとかキーパーで研磨する場合、料金や評判はどうなんだろう。

そもそも車磨きって、どういう作業をするんだろう。

車磨きって、車の塗装の傷を取ってキレイにすることだろうけど、よくわからない。

車磨きにおいて何が大切で、どんなリスクがあって、値段が違うのはなぜか。

あまり解説されている方が多くない世界かと思います。

そこで本記事では、車磨きにまつわる内容をできるだけ詳しく、そして分かりやすく解説していきたいと思います。

ぜひ大切な愛車を磨く際にどうすべきかという観点で、ご自身の価値観と相談しながらお読みいただけると幸いです。

目次

車磨きとは

では、まず車磨きとは何なのか、を説明していきたいと思います。

目的は、お客様のニーズに合わせて美観を整えること

車磨きは、字の通り、「車の塗装を、様々な道具を用いて削って綺麗にすること」です。

ただし、目的は車のオーナー様毎に異なると思います。

「新車のボソボソとした塗装を削って、艶を出すこと」や「中古車だけど、傷一つ見えない状態にしたい」、「この傷だけはすごく気になるから、ここは傷が見えない状態にしたい」など、オーナー毎に、愛車に求める美観のニーズが変わってくると思います。そんなオーナーが抱える抽象的な美観のニーズを、できる限り分かりやすく具現化することが車磨きの本質になります。

なので、お店で施工される場合は、愛車の状態を踏まえて、いかにお客様の求める美観のレベルまで引き上げるかが重要になります。

研磨でキレイになっても、削り過ぎは理想ではない。

研磨は塗装のクリア層を削ることで、綺麗になります。

ただし、綺麗にみえるから削れるだけ削ってしまうのは、理想ではありませんし、リスクがあります。

なぜならクリア層は、凡そ30-50μという厚さしかないためです。(マツダなど特に塗膜が薄いですし、ホンダは柔らかくコンパウンドが絡みやすい塗装なので癖があります。)

削りすぎてしまうと、塗装の下地が出てきてしまい色が変わったりしてしまいます。なので、磨く人の立場からすると、いかに塗装を残しつつ、お客様の目に叶うキレイな状態を作り上げられるかが、プロのお仕事です。「ビカビカに磨いてキレイな状態になった。かなり膜圧減ったのでもう次は磨くことはできません。」は、長く愛車に乗り続けたいというオーナーにとっては、最悪だと思います。

磨きの変数は全部で5つ

では、磨きのレベルはどんな変数によって左右されるのでしょうか?

ポリッシャーの種類、ポリッシャーの回転数、ポリッシャーの圧のかけ方、バフの種類、コンパウンドの種類が5つの変数になります。

車の塗装の状態は、同車種同カラーであっても、同じ道具で最適な塗装の状態を作れるわけではありません

その塗装の状態に合わせて、5つの変数を、経験と知識によって最適解を見つけ出さなければなりません。1度の磨きで仕上げることもあれば、3,4回と磨くことで、目的の状態にすることができることもあります。具体的に説明すると、1回磨いただけだと、もともとあった傷は取れるものの、研磨によってオーロラのような磨き傷が残ってしまうこともあります。

その場合、2度目の研磨で今度は磨き傷が見えないレベルまで研磨する作業が必要になります。その状態によって、2回目で終了となるか、はたまた3回目で終了とするかは、目的とすると状態次第になります。

また、塗装の状態を確認する上でも、作業環境と照明は、重要になります。

これから詳しく紹介していきます。

車磨きをするための準備。ポリッシャー、コンパウンド、バフだけではない。

ここからは、車磨きをするための準備、必要なものについて解説していきます。

塗装と道具の知識、経験

一番重要と言えるものは、磨く人の塗装や道具の知識と経験です。

先程申し上げたとおり、塗装の状態は同車種同色であっても、使用する道具は違うことがほとんどです。場合によっては、パネルによっても違うこともあります。新車であっても、ディーラーで何かがあったかを隠すための再塗装されているパネルがあって酷く磨かれていて磨き傷が残っていたり、塗装のミストが違うパネルやガラスに飛んでいたりすることもザラにあります。その場合は、綺麗にするためには、違う道具の組み合わせが必要になったり、磨かずにケミカルで落とさないといけないケースもあります。

車が納車されるまでは、見えないところで塗装は色んなことを経験しています。

新車整備センター(PDI)で検査されたのち、各ディーラーに輸送され、お客様の手元に渡るまでに、様々な移動と保管、検査を繰り返すのですから、何かしらディーラーの担当者も気づかないところで、問題が実は起きている可能性が高いのです。

そのため、磨く人は、塗装の状態を確認し、塗装の歴史を紐解き想像しながら、キレイな状態を作り上げるためのロードマップを作る必要があります。そのためには、やはり場数を重ねた知識と経験がモノをいいます。

密閉された屋内環境

次に必要なのは作業環境です。

車を磨くにあたっては、密閉された屋内環境が必要になります。

磨く作業中に、ポリッシャーが砂埃を巻き込み、傷がつくリスクを伴うためです。

なので、外気にあたらない無風の密閉された屋内環境が適切な磨きをする上では重要です。

照明設備

照明設備も重要です。

磨く作業は、塗装の傷が取れているかを確認する作業でもあります。そのため、いくら塗装や道具の経験があったとしても、自然光の中で磨くことはできません。

傷が取れているのか、そして磨き傷の程度がどれくらい残っているかを確認できずに、漠然と作業をすすめていくことになります。

そこで適切な照明設備があれば、塗装の状態を確認しながら研磨作業をすすめることができます。傷の状態、そして塗装のカラーによって、見やすいライト見えにくいライトがあるので、作業者が作業をしながら、照明をいろいろ試してベストな照明の配置を設定する必要があるといえるでしょう。

ポリッシャー、コンパウンド、バフ

そして最後に磨き道具、ポリッシャー、コンパウンド、バフです。

ポリッシャー

初心者にも使いやすい、京セラ(Kyocera) 旧リョービのダブルアクションポリッシャー

ポリッシャーは、磨く機械のことをいいます。

種類としては、シングルアクション、ギアアクション、ダブルアクションの3種類で、パッドの動き方が異なります。

ポリッシャー3種の違い

シングルは、高速で同一方向に正円回転をし、ギアアクションは、ギザギザに動きながら回転、ダブルアクションは、微細な円状の振動をしながら、回転をする挙動という違いがあります。

塗装や傷の状態に応じて、それぞれのポリッシャーを使い分ける必要があります。

また、パッドが回る回転数やトルク(パッドが回転しようとする力強さ)もポリッシャーによって様々ですし、先述したように車の塗装にバフを押し当てる力(面圧)によっても研磨力は変わってきます。

ポリッシャーの持ちやすさや重さも好みがありますので、磨きの目的を達成する上で、最適なポリッシャーは作業者それぞれ変わるということになります。

バフ

ロングウールのバフ

バフには、大きな分類でいうとウールバフと、ウレタンバフの2種類になります。

ウールバフの中には、毛の長いタイプと毛が短いタイプに分かれています。基本的には毛の短いタイプの方が研磨力が高く、1回目の初期研磨に向いていると言えます。

一方で毛の長いウールバフは、ものによってはバランスのとれているものもあり、初期研磨だけでなく、一気に仕上げまでもっていくことのできるものもあれば、仕上げの一歩手間の状態までもっていくことのできるものもあり、対応する範囲が幅広いのが特徴になります。

次にウレタンバフですが、非常にソフトなもので仕上げ専用のものもあれば、最近ですと低反発ウレタンで正六角形のハニカムスリットが入り、ウールを使わずとも、研磨力と仕上げの性能のバランスのとれたバフも登場してきています。

ハニカムスリット入の低反発ウレタンバフ

結局バフだけでなくポリッシャーやコンパウンドの組み合わせにより、研磨力と仕上げの性能のバランスは変わってきますが、バフだけでも様々な製品があり好き嫌いがあるので、組み合わせを固定化することは難しいと思います。

コンパウンド

定番の3Mのコンパウンド

コンパウンドにも様々な種類があり、目的とする番手(粒子の粗さ)と塗装の硬さなどの状態によって選択していく必要があります。また塗装のみならず、メッキ磨き用のコンパウンドだったり、素材に合わせた専用のコンパウンドもあります。

目の粗さは、粗目、中目、細目、極細目、超微粒子、そして粉砕型といった種類があります。

粗目は削る力が強い一方磨き傷が残りやすく、超微粒子は削る力は弱いものの最終仕上げに向いてます。

また、粉砕型といって、研磨粒子が削るに従って徐々に小さくなっていく、初期研磨から仕上げまでできるコンパウンドもあります。

何のために使うコンパウンドなのかによって選択も変わるでしょう。初期研磨を目的とするのか、それとも仕上げ用のなのか、はたまた粉砕型で初期研磨だけでなく一気に仕上げまでやりたいのか。もちろん、バフやポリッシャーとの組み合わせによっても、作用は変わるので、塗装の状態にあわせて最適な組み合わせを考える必要があります。

車磨きの手順やり方

では、車磨きをするための準備が整ったとして、お店で磨く人はどのように車磨きを進めていくのでしょうか。

磨きの目的が傷を取ることではなく、あくまで艶出しレベルしかやらない(できない?)お店であれば、ダブルアクションポリッシャー、ウレタンバフ、超微粒子のコンパウンド、それぞれ1種類だけでもよいかもしれません。

しかし本来磨きは、お客様のニーズを踏まえると、最小の削りでありながらも最大限の美観を引き出すことが目的であるはずです。そのためには、塗装の状態に合わせて最適な道具を選び、最適な使い方をする必要があります。1つ2つだけの道具の準備では、対応できる塗装状態には限りが出てしまいます。

具体的な手順としては、塗装の状態を見て、過去の経験と知識をベースに、適切なポリッシャー、バフ、コンパウンドをいくつか選んでみて、試し磨きを行います。

そこで塗装の状態と道具のマッチング、道具間のマッチングの良し悪しをもって、そのままGoするのか、違う組み合わせにするのかを検討します。適切な組み合わせを決めた後、何回の工程(初期研磨と仕上げ研磨の2回なのか、初期、中間、仕上げの3回なのか等)をどういう道具の組み合わせで行うべきか、ゴールまでのロードマップを考えます。

ただし作業途中において、塗装の状態の異なる場所(再塗装や傷が多いパネルなど)によっては、全く別のプロセスをたどることもあります。それは照明を用いて、正確に塗装の状態を見て判断するしかありません。

このように、磨きを丁寧にされるお店は、決まりきった手順、流れで研磨作業をすることはなく、その時の状態に合わせて適材適所そして臨機応変に対応するといった作業工程を経ることになるのが通常かと思います。

なぜ車磨きは、誰にでもできるわけではないと思うのか

では、なぜ車磨きがどんな方でもできるわけではないのかを、改めて分かりやすくお伝えしようと思います。

もちろんリスクを承知の上やりたい!や、教わる方に見ていただきながら作業できるのであれば、ご自身でトライしてみるのも良いかと思います。

塗装を研磨することは、リスクがあるから

具体的にどんなリスクがあるかを列挙してみようと思います。

  • 磨きすぎて塗装の下地がでてしまう
  • 塗装にコンパウンドが焼き付いてしまう
  • 磨き傷(オーロラ)が残ってしまう
  • ポリッシャーのパッド外側が塗装や樹脂などの素材にぶつかり、傷をつけてしまう

どれも可能性としてはあるものばかりです。丁寧にやろうとすればするほどリスクを伴う作業になり、道具や環境整備が必須になります。

設備、道具、環境、経験全てを揃えることは難しいから

これまでお伝えしてきたことですが、塗装の状態を理想的な研磨で、最小の削りで最大の美観を引き出すには、多くの設備、道具、経験、知識が必要になります。

そのため、それを整えるには、十分な根気と情熱が必要になりますので、その覚悟があるかが私自身重要だと感じています。

問題が生じた時に、自分で対応できる可能性が低いから

つまりリカバリーできるかです。

コンパウンドが塗装に焼き付いてしまった時にどうするか。それがコーティング施工後に焼き付いてるのを発見したら何をすべきか。初心者の組み合わせと言われて購入したポリッシャー、コンパウンド、バフの組み合わせでトライしたら、なんか塗装がモヤモヤして磨き傷が残っている、磨き傷を取るにはどんなアプローチが正しいのか。そもそも今の組み合わせのまま他の部位も磨いて良いのかなど。その時その時に応じて、対応できるかも、車磨きをする上では重要でしょう。なかなかDIYでは、難しいのでは?と思う理由の1つです。

車磨きをお任せできる、信頼できるお店の特徴

ここで、車磨き〜コーティング作業まで、お店にお願いする場合、どんなお店がよいかが疑問として残るかと思います。もちろん一番良いのは、信頼できる人(家族や友人)がおすすめするお店が一番納得の行くサービスになるかと思います。ただ、なかなかそういう方が周りに居ないときには困りますよね。評判みてもわかりづらいし。

そこで、これまでの経験踏まえ、車の磨きを真剣に丁寧に取り組まれているお店の特徴を解説していきたいと思います。

なお、キーパーやオートバックスで磨きをされるのは、私自身はおすすめできないです。その理由はこちらで解説してますので宜しければご覧ください。

常に向上心があり、研究熱心な人がいること

具体的には、道具や設備に常にアンテナをはり、大切にされている方が望ましいです。「最近のポリッシャー/コンパウンド/バフのトレンドは?」や「道具のこだわりや、大切にされていることはありますか?」など聞いてみると良いかと思います。

情報収集され、新しいことにも取り組んでいく姿勢をお持ちの方であれば、熱心に話されると思います。

また、道具/設備は大切な商売道具ですので、綺麗にされているかも重要だと思います。ポリッシャーのコードの巻き方が汚かったり、コンパウンドでポリッシャーが真っ白になっていたり、そのようなお店は、、、おすすめできません。

磨くことはリスクがつきものだと考え、リスクをへらす努力をしていること

これまでお伝えしてきた通り、塗装は有限ですので、何でもかんでも磨けばよい、ということではありません。

どんなお車も鏡面研磨します、を謳っていたりするお店は注意が必要です。愛車をどれくらい乗る計画から会話ができ、その期間に応じて、磨き方を調整されるようなお店がよいかと思います。

つまり、塗装を残しながら、常にキレイな状態を維持するためには、どれくらい削ればよいかを管理できるお店がよいでしょう。場合によっては、1度だけでなく、2度3度と同じ車の作業をお願いするとなると、その時に再研磨が必要になることもあります。そこまで見据えてお客様と向き合えているか、一度ではなくこの先のお付き合いを考えられているか、会話から感じ取れるかが肝だと思います。

施工台数が多いこと

これはシンプルでわかりやすいかと思います。そのお店の施工台数が多ければ、それだけ塗装の知識経験は豊富になるということです。道具や設備はやる気次第で投資すれば準備できますが、施工台数が多いかは、お客様次第ですので、時間がかかります。

古い塗装から、最近の塗装のトレンドまで経験され、会社として施工者として、知恵知識を持っているお店は、それだけ信頼できるでしょうし、信頼されているからこそ施工台数も多くなるのだと思います。

以上お店の特徴を解説してきました。ぜひ検討されているお店の方に質問されてみたり、サイトなどをゆっくりご覧になることをおすすめします。

まとめ

以上、車磨きとは?から始まり、磨きに必要な道具設備、磨きの手順やり方を解説してきました。

車に対する価値観はそれぞれで、「愛車を大切にするための投資は厭わない!」という方もいれば、「車はできれば綺麗にしたいけど、できるだけお金はかけたくない、、、」という方もいらっしゃると思います。

その価値観次第で、選択肢も変わってくると思います。

ここで、最後にお伝えしたいことは、情報元が信頼できるかよく吟味されてください、ということです。

それだけコーティングに関する業界は、わかりにくくなっていますので信頼できる人情報を大切に、素敵なカーライフをお過ごしください。

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